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【10年経過】素人によるバイクのエンジン自家塗装 まとめ

当ブログで人気であるエンジンの自家塗装について、塗装完了から約10年が経過したので、その経過報告を行います。
素人による自家塗装で、はたして10年経つとどうなるの?と感じる方もいると思うので、一つの参考になれば幸いです。

尚、当時の塗装の流れは下に一覧にまとめていますが、この記事だけを読めば大まかなエンジン自家塗装の流れが分かるようにまとめたつもりです(分かりにくいところはスミマセン…コメント等で質問してください)。


当時(2012年1月)はマフラーとエンジンの両方を自家塗装しましたが、今回の記事ではエンジン自家塗装についてをまとめています。
マフラー自家塗装については、別途まとめます。


目次


塗装完了から10年後の様子

まず現在の状態から。
基本的に自家塗装後は何も手を加えていません。普通にツーリングして、汚れたら適宜水洗いして…と、特に普段と変わりなく使っています。
保存方法もガレージ保管ではないので、多くの方と同じような保存環境かと思います。

これが10年経過した自家塗装エンジンの状況です。
パッと見はきれいです。1985年のバイクとは思えないくらい(自画自賛)。エンジンがむき出しのバイクにとってはかなり大事な要素だと思います。


でも、実際はそんなにきれいではないのです。

早速拡大して見てみましょう。
まずは左側から。


10年という月日で塗装は剥がれてきています。特にエンジンヘッド周辺は顕著です。


空冷のフィンの塗装は結構落ちていました。
それだけ走行風があたっているということです。空冷エンジンは走行風で冷やす機構なので、仕方ないのかもしれません。


エンジン下側は比較的きれいです。それは走行風をもろに受けていないということも関係してくるかと思いますが、比較的良好な状態を保てています。
見た目の面積も大きいので、ここの塗装がきれいなだけで印象が結構違ってきます。


細かく見れば塗装の剥がれはあります。ペリペリと剥がれてしまうので、このまま放置すると悪化しそうです。
何らかの手を打つ必要がありそうです。


続いて反対側。
左側と比較すると状態はかなり良好です。走行風を受ける影響が違うから?と思いますが詳しいことは分かりません。ただ言えるのは、最初に紹介した左側は比較的日に当たる場所に駐車していたので、その影響もあるかと思います。

個人的にはマフラーも映るこちらのアングルが好きなので、良かったのかもしれません。笑


近付いてみます。もちろん剥がれはあります。


やはりエンジンヘッド近辺は剥がれが目立ちます。
考えられる原因としては、少しずつ滲み出ているエンジンオイルが、塗料の下に入り込んでしまっている?のかもしれません。


塗料を触るとペリペリと剥がれてしまいます。早めに対策したほうが良さそうです。


続いて右側のエンジンカバーです。YAMAHAの文字はきれいな状態を保っています。これには大満足。


もちろんプロではないので、一部の塗装で剥がれが生じています。特に何もフォローしていない状態での経過なので、まぁまぁ状態としては良いかな?と自己評価しています。遠目から見れば塗装の剥がれは分かりにくいですが、やっぱり近付くとすぐに分かります。

ですが、素人の塗装で10年でこの結果だからしっかりと塗装できた!と私は思ってます(個人的主観です)。


後程ご紹介しますが、この自家塗装で使用した塗料は膜が非常に厚く、塗料が簡単には剝がれません。それだけ強力ということが、写真を見て少しでも理解してもらえればと思います。

ここからは使用した塗料の紹介に移ります。

使用した塗料類

初めに一番気になる塗装に使用したスプレーのご紹介から。世の中にいくつかある塗料の中で、私が選んだのはコチラのスプレーです。

・Top Heat 耐熱塗料 艶ありブラック

このスプレーを2本使用しました。

当時塗装を行った際は、エンジンを下ろして行いました(部分的なオーバーホールも含んでいたため)。
ですが、実際はフレームに積んだままでもできたかな?といった感想です。もちろんエンジンを下ろすメリットは細かいところまで塗装できるという点なので、そこは状況に応じてだと思います(エンジンはめちゃくちゃ重いので、作業は2人以上かつ整備の知識がある方と行ってください)。


そしてこの塗料、サーフェーサーといった下地処理が不要で食いつきが良いのが特徴でもあります。
実際に体感しても分かりましたが、10年経過した今でも大部分の塗料が残っている状態を見れば証明できたかなと思います。


特にエンジンカバーはこの状態。あと10年したらどうなるか分かりませんが(^^;


本当は塗装終了後に加熱させることによって塗料を定着させますが、実際に加熱することは難しいので私はハロゲンヒーター(室内用)を当てていました。笑

もちろんそれでは100度といった温度には到底届かないので、実際は走行させることによってエンジンを温めて完成させた、というのが正しいです。
なので、スプレーの説明書通りに焼き付き乾燥はさせられていないのが正直なところです(多分多くの方がそうかと思います)。

・ソフト99 耐熱ペイント つや無しブラック

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エンジンヘッドに使用したのは、こちらの耐熱スプレーです。

家に余っていた残量が少量だったこともあり採用しました。こちらはエンジンほど風をもろに受ける部分ではありませんが、塗料の耐久性としては申し分ないかと思います。

・ソフト99 シリコンオフ

ソフト99 シリコンオフ 300ml

いくら下地処理が不要と言えど、塗装前にはしっかりとした脱脂が必要です。
これをやらないといくら高性能な塗料でも剥がれてしまいます。


私が使用したのは、当ブログではお馴染みのソフト99のシリコンオフです。これを吹き付けて油分を落としました。

これと同時に念には念を入れて中性洗剤とスポンジで手洗いもしています。しっかりと油分を落とし、水気を切って乾燥させることもお忘れなく。

使用した道具類

続いて使用した道具の紹介です。
主に使用したのはワイヤーブラシとヤスリで、これらは古い塗装を落とすために使用しました。

・ワイヤーブラシ

塗装をガシガシ落としたいときに使用しました。元々かなり塗装が剥がれていたのですが、エンジンカバーのようにYAMAHAといった文字が刻印されている部分の塗装はヤスリでは落としにくいので、細かい箇所でも塗装が落とせるワイヤーブラシを使用しました。

・空研ぎヤスリ #100

ヤスリは番手が低いものを使用しました。元々エンジンの塗料自体が強力なので、#100でガシガシ落としました。

・耐水ペーパー(各種番手あり)

こちらは仕上げや塗りムラを修正する際に使用しました。
特に塗装が終わった後の塗りムラ修正には#600を使って表面を均しました。

・ハケ

細かい箇所を仕上げるのに使いました。特に空冷エンジンだと冷却用のフィンがあり、その部分を塗るのに活躍しました。
空冷・水冷エンジン問わずに手元にあると良いと思います。

塗装工程の紹介

使用した塗料と道具は以上になります。
基本的には紹介した塗料で塗っておしまいなんですが、その工程をもう少し細かく説明していきます。


まず、自家塗装を施すエンジンの紹介から。
ずっと放置されていたエンジンだったようで、塗装のほとんどが剥がれています。


近付くと分かる剥がれ具合。
おまけにクランケースには傷もありました。エンジン自体は調子が良かったのに、この見た目だと調子良く見えない…笑


このエンジンがどれだけきれいになるか、スタートです。

下地処理

下地処理の工程はこの後の塗装に大きな影響を及ぼすので、念入りに仕上げていく必要があります。
下地がしっかりしていないと、せっかくの高性能な塗料も能力を存分に発揮できません。そのため、ワイヤーブラシとヤスリを使って可能な限り古い塗装やサビを落としていきます。


ワイヤーブラシ→ヤスリ#100の順で磨けば、それなりに塗装が落ちます。
塗装を落とすと下地が見えてきます。


古い塗装を全部落とせればいいのですが、それは難しいのである程度で良いと思います。
古い塗装と下地との段差が触って分かりづらくなるところまで処理をすると、比較的きれいに塗装できると思います。


当時の様子はコチラ↓

脱脂

古い塗装を落としたところで、続いて脱脂の工程となります。
下地を落とす際に、強力なサビに対してはクレ5-56のような潤滑油を使用することがあると思います。それらの油をしっかり落として、塗装後に油による剥がれを防止するために行います。この脱脂工程はしっかりと処理する必要があります。

尚、筆者は冒頭でも紹介したシリコンオフ、そして台所用洗剤とスポンジを使って脱脂作業を行いました。

ソフト99 シリコンオフ 300ml

古い塗装がごみとなって残ることもあるので、それらもきれいに落としましょう。

脱脂完了後はエアーを使って水分を吹き飛ばし、一晩乾燥させています。下地に残った水分も塗料にとっては敵なので、十分に乾燥させる必要があります。
私が作業していたのは、12月下旬でしたので、夏であれば半分の時間で乾燥させることができると思います。
とにかく水分を残さず、しっかり乾燥させることが大切です。


エアーがない方も、1週間雨がかからない場所に保管していればしっかり乾燥させることができると思います。

塗装(1回目)

自家塗装の一番のハイライトである塗装工程に入ります。
ここまで下地処理、そして脱脂を行ってきました。乾燥も十分な状態であれば、実際に塗料を使用していくだけです。
冒頭でも紹介しましたが、エンジン塗装ではTop Heat製のスプレーを採用しています。250cc空冷単気筒エンジンで、スプレーを2本使用しました。

特に苦戦したのは、空冷エンジンにあるフィンの部分です。ここは裏側が塗りにくいので、エンジンを少し傾けつつ、スプレーする…といった作業を繰り返していきました。

フレームに取り付けたままの状態だと、車体を傾けることは難しいので上や下からスプレーを傾けつつ塗布していく必要があります。

塗装(2回目)

2回目の塗装に入る前に、塗りムラとなってしまった箇所を修正していきます。
この塗りムラは同じ箇所にスプレーし続けることによって、液が溜まってしまうことから発生します。均等に同じ速度で塗布することが大切なんですが、形が複雑なため中々難しいのも事実。

出来てしまった塗りムラは仕方がないので、ヤスリ#600で削って平らにしました。

そして、奥まった部分の塗装について。
先程のフィンの間の塗装について、どうしても奥まった部分はスプレーの力では限界があります。

そこで、フィンの奥まった部分に対応するためにハケを使って塗装を行いました。塗料は先程の耐熱スプレーとなりますが、蓋にスプレーを吹きかけてそれをハケで塗っていました。

乾燥

本当は焼き付き乾燥といって、加熱することで塗料をくっつけるのですが、流石に素人ではそれを用意することはできません。
なので、私は気休め程度にハロゲンヒーターを当てていました。笑

効果があるかは分かりませんが、最終的にはエンジンをかけることによって完成したと思っています。

正しいやり方ではないと思いますが、このやり方で冒頭の状態なので、許容範囲かなと思っています。
そこまで求めるとなると、やはりプロにお任せしないとできないと思います。

完成

これにてエンジン自家塗装が完成しました。
正直フィンの奥は陰で黒くなるのでそこまでこだわらなくても大丈夫かと思います。
実際に写真に収めてもフィンの奥までは写らないので。笑


完成した当初の写真です。この頃はエンジンがきれいになって意味もなく走りに行ってました。笑

冒頭の写真と比較すると今は大分剥がれてしまいましたが、それでも7割くらいは塗料が残っているかなと思います。

まとめ

最後にまとめです。

エンジン自家塗装において大切なのは、下地処理と脱脂の2つだと思います。

まず下地処理についてですが、古い塗装をできるだけ剥がせるときれいに仕上がります。
特に古い塗装はペリペリと剥がれるようになっていることが多いので、可能であれば剥がしておくと後々塗装をした際に凹凸も生じず、見た目もきれいになります。
大きい部分はヤスリの番手が大きいものを使い、細かい部分はワイヤーブラシ等を使い分けるといった形でやってきました。


続いて脱脂についてですが、特にエンジンヘッドからのオイル滲みやクラッチワイヤーからのグリスといったような油分が想像以上にたくさん発生しています。
これらは可能な限り取り除いてください。
油分が残っている状態でのスプレー塗布は塗料がくっつかず、すぐに剥がれてしまう原因になります。

また、絶えず走行風に当たっているのがエンジンでもあるので、特にフロント側は虫や砂ぼこりで汚れています。
ここも重点的に掃除し、脱脂を忘れないようにしてください。


ここまでしっかりできると、あとはスプレー塗装をするのみです。この工程は塗装の中で一番楽しいと思います。目に見えて色が変わっていきますしね。

そんな感じの素人エンジン自家塗装についてでした。
多分今の状況だったらそこまで見苦しい状態ではないので、剥がれてしまった部分をワンポイントで修正すれば良いかなといった具合です。

その他質問や気になることがあれば、コメント欄にてお知らせください!

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おわり


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